声優を目指す方へ
声優という仕事に興味をお持ちの方へ、現役声優の視点から仕事の実際や日々の練習についてお伝えします。これから声優を目指す方の参考になれば幸いです。
声優の仕事とは
声優の活動領域は年々広がっています。アニメや洋画の吹き替えはもちろん、ゲームのキャラクターボイス、テレビやWebのナレーション、オーディオブック、企業のプロモーション映像など、「声」が求められる場面は非常に多岐にわたります。
仕事の流れは案件によって異なりますが、一般的にはオーディションへの応募や指名から始まり、台本の読み込み、リハーサル、本番収録という流れで進みます。スタジオでの収録が中心ですが、最近では自宅収録で完結する案件も増えてきました。
事務所に所属して活動する方もいれば、フリーランスとして自分で営業や交渉を行う方もいます。どちらにもメリット・デメリットがあり、自分のスタイルに合った働き方を見つけることが大切です。
発声の基本
腹式呼吸を身につける
声優にとって最も重要な基礎が腹式呼吸です。胸ではなくお腹(横隔膜)を使って呼吸することで、安定した声量と長時間の収録にも耐えられる発声が可能になります。
仰向けに寝た状態でお腹に手を当て、息を吸うときにお腹が膨らむことを確認してみてください。この感覚を立った状態でも再現できるようになることが第一歩です。
喉を開いて声を出す
喉を締めた状態で無理に声を出すと、声帯に大きな負担がかかります。あくびをするときのように喉の奥を開いた状態を意識しながら発声することで、自然で通りのよい声になります。
共鳴を意識する
声は喉だけで出すものではありません。胸、口腔、鼻腔といった体のさまざまな部分で共鳴させることで、豊かな響きが生まれます。声を胸に響かせる感覚や、鼻のあたりに振動を感じる感覚を意識してみてください。
滑舌トレーニング
母音の発声練習
「あえいうえおあお」は声優の基本中の基本です。一音一音を明瞭に、口の形をしっかり作りながら発声します。鏡を見ながら練習すると、口の動きを確認できるのでおすすめです。
- 「あ」— 口を大きく縦に開く
- 「い」— 口を横に引く
- 「う」— 唇をすぼめて前に突き出す
- 「え」— 口を横に開き、舌を少し前に
- 「お」— 口を丸く開く
早口言葉を活用する
早口言葉は滑舌を鍛える定番の練習法です。最初はゆっくり正確に、慣れてきたら徐々にスピードを上げていきましょう。速さよりも正確さが大切です。
- 「生麦生米生卵」
- 「隣の客はよく柿食う客だ」
- 「赤巻紙青巻紙黄巻紙」
- 「東京特許許可局局長」
外郎売(ういろううり)
歌舞伎の演目「外郎売」は、声優や俳優の発声・滑舌練習の定番教材として広く使われています。早口言葉やさまざまな音の組み合わせが含まれており、総合的な滑舌力を鍛えることができます。養成所でも教材として取り上げられることが多い作品です。
表現力を磨く
技術的な発声や滑舌だけでなく、感情表現の幅を広げることも声優にとって重要なスキルです。
台本の読み込み方
セリフを読む前に、まずキャラクターの背景や場面の状況を理解することが大切です。「このキャラクターはなぜこのセリフを言うのか」「どんな感情を抱えているのか」を考えることで、自然な演技につながります。
日常での観察力
普段の生活の中で、人の話し方や感情の変化を観察する習慣をつけましょう。嬉しいとき、悲しいとき、怒っているとき、人はどんな声のトーンやテンポで話すのか。こうした「引き出し」を増やすことが、演技の幅を広げてくれます。
声優を目指す方へのアドバイス
養成所・専門学校の選び方
声優養成所や専門学校は数多くありますが、カリキュラムの内容、講師の経歴、卒業生の実績、事務所との繋がりなどを比較して選ぶことをおすすめします。可能であれば体験レッスンや見学に参加して、雰囲気を確認してみてください。
ボイスサンプルの重要性
ボイスサンプルは声優にとっての名刺のようなものです。自分の声の魅力が伝わるサンプルを用意しておくことで、仕事の機会につながりやすくなります。複数のキャラクターやナレーションのパターンを収録し、定期的に更新することをおすすめします。
体調管理と喉のケア
声は声優にとって最大の商売道具です。十分な睡眠、適度な水分補給、乾燥対策を日頃から心がけましょう。喉に違和感を感じたら無理をせず休むことも、長く活動を続けていくために大切です。加湿器やのど飴、マスクの活用など、自分に合ったケア方法を見つけてください。